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BBCニュースサイトより、注目のトピックスをお届けします。

ダン・ブラウンが考えるフリーメイソン論 新作『The Lost Symbol(ロスト・シンボル)』を読み解く

 ダン・ブラウンの新作『The Lost Symbol(ロスト・シンボル)』は、フリーメイソンがワシントンD.C.に仕掛けた「古来の謎」を解くのがテーマです。では、この本が友愛団体の真実を描いているといえるのか考えてみたいと思います。


■フリーメイソンとは?
・世界最古の世俗的友愛団体の一つ
・道徳と精神的価値を重んじる男性社交団体である
・会員は儀式劇を通じてこうした価値観を伝授される
・兄弟愛、救済、真理を不磨の3大信条としている

出典:フリーメイソン統一グランド・ロッジ(本部)

『ロスト・シンボル』

 『ロスト・シンボル』は、『ダ・ヴィンチ・コード』がカトリック教会を怒らせたのと同じように、フリーメイソンを敵に回すことになるだろう、と予想されていました。
 しかし、ダン・ブラウンの新作は、フリーメイソンを告発するどころか、慈悲深く、誤解され続けてきた団体として描いています。
象徴学の権威である主人公ロバート・ラングドンは、ワシントンで最も有名な建築物のいくつかに隠された、フリーメイソンの秘密につながる暗号を解読しようとしています。物語の冒頭、彼は、フリーメイソンにまつわる迷信(と彼が考える)を暴こうとします。
 では、ダン・ブラウンの描くフリーメイソンの姿は、どこまで正確なのでしょうか。私たちは、物語の中で提起されている五つの問題点を取り上げ、2人の専門家に意見を聞きました。
 ジョン・ハミル氏は、かつて、ロンドンの中心部にあるフリーメイソンの英国本部で司書をしていた、フリーメイソンを専門とする歴史家です。マーチン・ショート氏は、1998年に出版された、反フリーメイソン的な著作『Inside The Brotherhood(友愛会の内幕)』の著者です。

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開かれた団体?

 ○ダン・ブラウンの主張: フリーメイソンには差別がありません。物語のある場面で、ラングドンはこう言っています。「フリーメイソンは、あらゆる人種、皮膚の色、思想にかかわらずすべての人に開かれており、いかなる意味においても差別のない友愛精神を育てるのです」
◎フリーメイソン(ハミル氏)の証言: フリーメイソンは、人種、皮膚の色、宗教、政治信条、社会的経済的地位を理由に、差別することはありません。入会のための最も重要な要件は信仰ですが、その内容はまったく個人の自由です。英国統一本部では、会員は男性に限られていますが、これは女性に対する差別ではありません。というのは、英国には会員を女性に限る本部が二つあり、また、男女混合の組織も二つ存在するからです。フリーメイソンは、社会全体の善のため、みんなで力を合わせたいと考える人たちに結集してもらうことを目的としています。フリーメイソンの集まりで政治と宗教を話題にすることが厳禁されているのは、そのためです。人々の意見が分かれる一番の話題は、この二つですから。
・識者(ショート氏)の見解: フリーメイソンは、どの国においても、常に体制維持派である傾向を強く持ってきました。英国本部は女性の入会を拒んでいます。多くの会員は、女性から距離を置くために、フリーメイソンに入るのです。彼らは、結婚生活を堅固にするためではなく、女性のいない所で趣味を楽しみたいがために、集まるのです。はなはだ女性嫌悪症的ですが、彼らは、結婚生活を擁護し、何よりも家族に忠誠を誓っている、と言うでしょう。

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髑髏の杯

○ダン・ブラウンの主張: 入会の儀式では、髑髏で赤ワインを飲みます。
◎フリーメイソンの証言: どの儀式であれ、フリーメイソンは、髑髏で赤ワインを飲むことはありません。この迷信は、1890年代、反フリーメイソン派として悪名高いあるフランス人が広めたもので、彼は、レオ・タクシルというペンネームで、勝手にフリーメイソンの儀式と決め付けて、表現のどぎつい暴露記事を書いたのです。
・識者の見解: 私はそれを、本来的なフリーメイソン会の制度(要するにフリーメイソンの一般的な要素の一部)とは、考えていません。入会式では、新入会員は目隠しをされ、首には縄を巻かれて、胸に短刀を置かれます。ちょっと気の弱い人なら、これだけで十分ショッキングな儀式であり、この試練を受けることによって、自分の知らない人のためであっても、相互防衛と支援の絆を結ぶようにし向けられるのです。誰に忠誠を誓っているのか本人は知りませんし、また、知ってはならないこととされています。

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疑似殺人の儀式

○ダン・ブラウンの主張: 殺人を擬した、死の儀式もあります。
◎フリーメイソンの証言: 3段階ある階級のうち、最上級のマスター・メイソンになると、ある時点で、自分に寄せられた信を裏切るよりは、死を選ぶ人物を象徴的に演じることがあります。それは、本人に、道徳性と人格が、秩序ある社会にとって欠くことのできない徳であることを教える、演劇的手法といってよいでしょう。
・識者の見解: それは本当です。神話によりますと、ソロモンの宮殿を建築したとされるヒラム・アビフは、建築の秘密を明かすことを拒否したがために、殺されたことになっています。第二階級のクラフトが第三階級(段階)に進むと、この殺害が儀式化され、候補者は、象徴的に殺害されるばかりでなく、復活の儀式も体験します。

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宗教ではない?

○ダン・ブラウンの主張: 「フリーメイソンの宗教心と組織宗教の違いは、フリーメイソンが、宗教的権威の定義や名前を強要しないところです(ロバート・ラングドン)」。
◎フリーメイソンの証言: フリーメイソンは宗教ではありませんし、宗教の代わりでもありません。確かに、入会するには宗教的な信仰を持っていなければなりませんし、諸種の式典は、ソロモン王の宮殿の建設を物語る旧約聖書に基づいてはいますが、ダン・ブラウンが本の中で指摘しているように、フリーメイソンは「宗教の基本を欠いている」のです。ある箇所でラングドンはこう語っています。「フリーメイソンは、魂の救済を約束しません。神学らしいものも持っていません。あなたを改宗させようともしません」。
・識者の見解: アングロ・サクソン系(英国、スコットランド、アイルランド、アメリカ)のフリーメイソンは、神を持っており、その神に、Great Architect of the Universe(宇宙の偉大なる建設者)という名を与えています。儀式の書では、それぞれの語の頭文字を取って、GAOTUと略称されています。私の見解では、それは一神教であり、多くの人にとって、宗教の代用となるものです。

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ワシントンD.Cはフリーメイソンの首府

○ダン・ブラウンの主張: ワシントンを建設したのは、フリーメイソンでした。小説の中で、ブラウンの語り手はこう言っています。「ワシントンD.C.が、濃厚にフリーメイソンの流れを汲んでいることは、秘密でも何でもなかった。この建物の礎石にしても、ジョージ・ワシントン自身が、完全にフリーメイソン流の儀式に従って、据えたものだ。この市は、フリーメイソン的な象徴主義と建築様式と技巧によって自分たちの新しい首府を装飾した強烈な知性の持ち主たち、すなわち、ジョージ・ワシントン、ベンジャミン・フランクリン、ピエール・ランファンというマスター・メイソンたちによって計画され、設計されたのである」
◎フリーメイソンの証言: ワシントンD.C.は確かに、濃厚にフリーメイソンの流れを汲んでいます。建築的要素がフリーメイソン的象徴として利用され、ワシントンD.C.の建築様式がどこまでも古典的であるため、多くの建物がフリーメイソン的要素を持っているように見えます。しかし、それは「鶏が先か、卵が先か」という議論に似ています。単に古典的装飾というだけなのでしょうか、それともフリーメイソン的象徴として意図的に建築されたのでしょうか。建築家だけがその答えを知っていることでしょう。しかし、ワシントンD.C.の平面図が直角定規とコンパス(フリーメイソンのシンボルマークの1つ)を象るように設計されているという説は、ダン・ブラウン自身が、市街図上の点を結ぶと、どんな形にもなる、とラングドンに言わせることによって、否定しています。
・識者の見解: アメリカ合衆国の建国にフリーメイソンが非常に大きな役割を果たしたこと、そしてワシントンの建築について言えば、フリーメイソン的要素が多く見られるということは、何の疑いもありません。しかし、会員数は近年、減少傾向にあり、私は、今日、アメリカにしろ、英国にしろ、政府内に多くのフリーメイソンがいる、とは思いません。

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