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BBCニュースサイトより、注目のトピックスをお届けします。

ナチスゆかりの品物コレクションは許されるのか?

Is it OK to collect Nazi memorabilia ?

ナチスゆかりの品物コレクションは許されるのか?

・BBCニュース フィンロ・ローラー 


イスラエルに監視の目を光らせている国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW:Human Rights Watch)」のあるスタッフをめぐって、騒動が起きています。ナチスにまつわる品物を収集していることが、彼が糾弾されている理由です。とはいえ、ナチス第三帝国にまつわる品々を収集するのは許されない行為なのでしょうか。





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第三帝国への興味はトラブルに 

 ナチス第三帝国のある側面に興味を持ったことでトラブルに巻き込まれたのは、なにもHRWのマーク・ガラスコ氏が初めてではありません。2年前にはミュージシャンのブライアン・フェリーが、ドイツの映画監督レニ・リーフェンシュタール(ナチスのプロパガンダ映画製作者として非難された)の映画や、ナチス・ドイツの建築家アルベルト・シュペーアの建築物、ナチス関連の図章などを賞賛したために非難の的になりました。さらに1999年には、男性ファッション誌『GQ』イギリス版が特集した「今世紀最高のおしゃれな男200人」のリストに、第二次世界大戦時のドイツのロンメル将軍とナチスの名が掲載されたことから、同誌の編集長ジェームズ・ブラウン氏が辞職に追い込まれました。
 しかし、ヨーロッパでもアメリカでも、ナチス第三帝国時代の品物を扱う市場が急成長を続けています。ガラスコ氏も、当時の希少な品々を探し求める数多くのコレクターの一人です。


 彼の趣味は、ブロガーたちの怒りを買っており、反イスラエル寄りに偏っているとも糾弾されています。これに対してガラスコ氏はニュース専門ブログ「ハッフィントン・ポスト(Huffington Post blog)」上で反論し、ナチスの賛同者呼ばわりするのは中傷的なたわごとに過ぎないと自己弁護しています。さらに、自分は長年にわたって第二次大戦時のドイツ軍と連合国軍双方の品物に興味を持っているのだと訴えています。「私は、自分の趣味を隠したことはありません。何ら恥じ入ることはないのですから。軍事的な歴史に興味を感じない人たちから風変わりな趣味と思われても構いません」と彼はサイト上に書いています。


 「戦時中の道具類を収集する、軍事歴史マニアは数多くいますが、それは過去から学びたいからです。しかし、第二次世界大戦時のドイツ軍のイメージが、多くの人を傷つけるものであることを認識しておくべきでした」。ガラスコ氏は、自分が二つのウェブサイト上で「無神経で子どもじみた投稿をした」ことを認めました。彼はSS(Schutzstaffel=ナチス親衛隊)のレザージャケットを「かっこいい」と投稿したことで糾弾されていたのです。


 そもそも、第三帝国時代の品物を収集する行為の問題点とはどのようなものでしょうか。
 マルコム・フィッシャー氏は、イギリス最大級のオンライン軍需品コレクション販売サイト「レジメンタルズ(Regimentals)」を運営しています。このサイトで購入できる軍需品は18世紀にまでさかのぼりますが、取り引きされている品物の大半は、第二次大戦当時の品であり、しかもそのほとんどはドイツ軍の関連品です。ヒトラーの肖像画から、かぎ十字章が印刷された花びんまで、サイトにはあらゆる品が紹介されています。


 しかし、フィッシャー氏によれば、彼のサイトで買い物をするコレクターたちは、基本的にただ歴史に興味を持っているに過ぎないとのことです。「歴史への興味以外に、これらの品物を取り引きする理由など皆無です。それがイギリスのものだろうとロシアやドイツ、あるいはイタリアのものだろうと、すべては歴史の一部であり、これは否定できない事実です。私が扱っているのは、歴史の工芸品なのです」。


 品物を購入するのは、ごく一般の人たちで、地位や職業もさまざまだとフィッシャー氏は語ります。彼がむしろ警戒しているのは、こうした趣味について語ろうとするジャーナリストに対してです。「中には、ごくわずかながら常軌を逸した過激な連中もいますが、それはどんな分野でも存在しうることです」。


 フィッシャー氏が販売し、ガラスコ氏のような人が買い集める品物は、法外な値段がつくことがありますが、一方、複製品を扱う並行市場もあります。熱心なコレクターは複製品を買い集めるかたわら、購入した軍服を着て「リエナクトメント(re-enactment:歴史上の戦争の軍隊行動を当時の武器・装備などを使用して再現する)」と呼ばれる歴史再現イベントに出かけたりもします。


 アンソニー・ホール氏は、ナチス第三帝国の品物専門のオンラインショップ「ミリタリア・ネット(Militaria-net)」を運営していますが、扱う商品はすべて複製品です。幅広い商品群のなかにはSSの制服やバッジもあります。ホール氏は、BBCのようなテレビ番組制作会社とも取り引きしているそうです。


 彼は、コレクターの中には「戦争映画を見たり、アクション・マン(1960年代にイギリスで発売された男児向け人形玩具。軍隊の人形が豊富)で遊んだりして育った中年世代」もいると語っています。

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ドイツ軍のファッション性?

 さらに、軍需品収集を政治的な傾向と結びつけるなんて、こじつけもいいところだと彼は言います。ガラスコ氏はこう語ります「(コレクターを)吊るし上げにするなんてばかげた話です。初期のコレクターは退役軍人でした。私の妻の伯父は、ある左翼連合のリーダーでした。彼の父親は、砂漠でナチスの短剣を拾い、それを息子である伯父に譲り渡しました。つまりは家宝などと同じようなものです」。


 リエナクターと呼ばれる歴史再現家(軍服などを着て昔を再現する愛好家)が品物を選ぶ上で重視するのは見ための良さだと、ガラスコ氏はためらうことなく認めました。「ドイツ軍の軍服は、他のどこの服よりも見栄えが良かったのです。例えばイギリス軍の軍服や装備は、見た目よりもひたすら実用性を重視した作りになっていました」。


 しかし、ホール氏のサイトで扱う複製品の大半が歴史的なものであるとしても、SSのTシャツや、マグカップなど一部の商品は、少なからず非難を呼ぶのではないでしょうか。第三帝国の国防軍(ナチス・ドイツ正規軍。当時のドイツには正規の国防軍と武装親衛隊が存在した)の正常な側面と、ナチスの一派であるSSを区別して考える人もいるかもしれません。親衛隊の一部はユダヤ人虐殺を先導した部隊だったのです。


 ユダヤ系イギリス人の団体「ユダヤ系イギリス人代表者委員会(the Board of Deputies of British Jews)」のマーク・フレイザー氏は、すべてケースバイケースで対処するべきだと語っています。「コレクターの中には、純粋に学術的な動機を持った人たちもいるはずですし、それに異を唱えるつもりはありません。しかしその対極には、ナチスの制服を着て第三帝国当時の生活を再演して楽しんでいる人々もいるということも、私たちは認識しています」。


 「そのような空想にひたる行為は、危険とまでいわなくても、問題であるのは間違いありません。歴史上のあれほど暗い時代に執着するとは、疑問に思わざるを得ません。それが趣味だと言われても、彼らを責められません。しかし私たちにも、そのようなことをしている彼らを軽蔑する権利があります」。


 どうしても許容できない部分もあります。委員会は、ユダヤ人収容所から持ち出された品々や、反ユダヤ的な物が売り出されると、そのつど対処しています。最も重要なことは、品物の収集が政治に関連するかどうかという点である、と述べるのはイギリスの反ファシスト雑誌「サーチライト(Searchlight)」を発行しているゲリー・ゲイブル氏です。


 「すべては状況次第です。もし、ナチスのホロコースト否定派として名高い歴史学者デヴィッド・アーヴィングの家がナチスの品物であふれているときいたら、それは厄介なニュースだと答えるでしょう。何年も前ですが、表向きは第二次大戦の軍需品コレクターだった男性が、実は極右政党のイギリス国民党(British National Party)の党員で、その妻は警察勤務ということがありました。許容できるか否か一線を画するのはこの辺りです」。
 「相手が明らかに怪しい政治観を抱いていると証明されない限り、影を追うようなものです」。


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