UKトピックス

UKトピックス

BBCニュースサイトより、注目のトピックスをお届けします。

難民受け入れに冷ややかな日本 

Scant welcome for refugees in Japan

故国を逃れて

・BBCニュース 東京 アビゲイル・モーズレイ


 東京の、ある狭苦しいアパートでは、ボランティアたちがビルマ(ミャンマー)からの亡命希望者に、日本のファッションと故国の伝統的な刺繍を組み合わせた洋服の作り方を教えています。
 ボランティアたちは、このプロジェクトがルー(仮名)のような女性たちの生計を立てる一手段になると期待しています。
 ルーが夫と子どもたちを残して、ビルマから逃げてきて3年になります。彼女は東京に着くとすぐに亡命を求め、入国者収容所へ送られて、そこで1年近くを過ごしました。
 それから2年、彼女はいまだに自分の地位に関する最終決定を待っています。毎日が何とか生きていくための戦いです。日本で亡命を求めている多くの人たちと同じく、彼女も政府の経済援助を受けることができず、それでいて仕事に就くことも禁じられています。
 「働くことは許されていませんが、働かなければ生きていけません。経済援助は受けられませんから、自分で何とかするしかないのです」。
 日本でのこれまでの生活について尋ねると、彼女は目に見えてうろたえます。「自分の国は大好きですが、そこにはいられませんでした」と彼女は言います。日本に来たとき、ここは民主主義の国だから歓迎してもらえるだろう、私は難民なのだから、と思っていました。でもそうではありませんでした。今は本気で将来の心配をしています。とても悲しい気持ちです」。

○主要国における難民認定数
・米国:16,742人
・フランス:11,441人
・ドイツ:7,853人
・英国:7,079人
・オーストラリア:1,854人
・日本: 417人
   *2008年度に難民の地位または他の形での保護を認められた人数(UNHCR)を表します


 日本は、海外の難民に単独で最大の経済支援や援助を提供している国の一つです。
 しかし批判者たちは、そのこととこの国での亡命希望者の受け入れとは全く対照的だとしています。
 昨年、この世界第二位の経済大国が難民としての地位を認めたのはたったの57人、他のほとんどの豊な国々と比べると、ごくわずかです。それでも、10年前と比べれば、ほぼ4倍の増加なのです。
 ほかに360人に人道的配慮から在留特別許可が与えられましたが、この場合、権利も援助も、完全に難民と認められた人よりも少なくなります。

ページトップ

難民を歓迎しない日本のシステム

難民として認められる件数が少ない理由の一端として、日本で難民の地位を申請する人たちも比較的少なかったことがあります。
 日本は他の国々と比べて、たどり着くのが困難な上に、多くの亡命希望者にとっては言葉の壁も存在します。
 日本での人々の流れは、海外から入ってくるよりも、むしろ出て行く傾向があり、歴代政府は、移民が社会的一体性に悪影響を与えかねないことを怖れて、伝統的に厳しい国境警備を行なってきました。
 日本難民支援協会(JAR)をはじめとする人権団体は、このシステムを歓迎されざるものであるとしています。
 彼らによれば、コミュニケーションの問題、適切な法律上の助言がないこと、そして独立した上訴手続きがないことが過去における高い拒絶率につながっており、さらに一部の人々は申請することさえ阻まれてきたのです。
 2005年、二人のクルド人が国連で難民と認められていたにもかかわらず国外追放となって注目を集めた事件なども、一部の人たちがこの国における難民申請をなおざりな選択肢だと思う理由となっていました。
 「日本も人道主義大国として認められたいと考えています」とJARの代理人である石井宏明氏は言います。「そうなるためには、国外の難民だけでなく、国内での難民の待遇にも目を向けなければなりません」。
 「もっと寛大な態度が必要であると感じています」と彼は言います。

ページトップ

経済支援が受けられず働く権利もない

 難民の地位を申請する者は、たいていルーと同じような境遇となります。経済支援は受けられないのに、働く法的権利もないのです。
 日本にいる亡命希望者は、一般の公共支援や健康保険の資格を得られませんが、最も貧窮していると見なされる者には、外務省を通じてわずかの金額が供与されます。
 たとえその資格を得たとしても、そのほんの一握りの人々が受け取る金額は生活保護を受けている日本人よりも少なく、しかも延長はできるものの、4カ月しか給付されません。
 難民支援活動グループの人たちは、多くの亡命希望者が極めて苦しい暮らしを余儀なくされていると言います。
 また、亡命希望者の数が増える一方で、援助資金と申請を処理する人の数がそれに追いついていないことから、この苦しさはさらに悪化している、と彼らは語りました。
 「2006年以降、日本にやってくる亡命希望者の数は急速に増えてきました」と石井氏は言います。
 「それが経済支援の点でも、申請の決定が出るまで待たなければならない時間の長さという点でも、多くの問題を引き起こしてきました。たくさんの人たちが、本当に苦しんでいます」。
 現在、日本の法律には亡命希望者に対する最低限のセーフティネットすらなく、保証するものがない、と彼は言います。JARをはじめとするいくつかの活動グループは、これを変革することを要求しています。
 コメントを求められた外務省は、BBCにこう語りました。「今後も申請者を保護する必要措置をとることを検討していきます……。その手段として、難民申請を取り巻く状況を慎重に調査します」。


ページトップ

進歩――新政府が難民政策見直し

 国連難民機関(国連難民高等弁務官事務所)の駐日代表ヨハン・セルス氏は、日本で自分の地位に関する決定を待つ人々が、基本的な支援を受けられるようにする必要があることに同意しています。
 しかし彼は、日本における前向きな変化があったことを認識することも重要だとしています。
「昨年度の数はこれまでで最大であり、『難民としての認定または人道的配慮による滞在許可を認めることに関して』は、進展しています」と彼は語っています。
 2004年の法律改正で一部領域の政策が緩和されました。例えば、入国後に、難民の地位を申請する際の60日間という制限を取り払ったことなどです。
 また、来年度から開始するビルマ人難民向けの試験的な再定住計画への合意は画期的だと、彼は言います。ただし、この計画に参加するのは年間30人にすぎません。
 将来に対する彼の考え方は、慎重ながらも楽観的です。
 「新政府は、ここ日本ばかりでなく、世界中での難民問題に何度となく言及しています。それが具体的な行動となって実現することを期待しています」。
 石井氏も、民主党率いる新政府が難民政策を見直してくれることを期待しています。
 「連立与党の国会議員の中に、難民問題に関心を示した人はたくさんいます」と彼は言います。
 「野党から与党へ立場が変わったからには、もちろん何らかの改善策がとられるであろうと期待しています」。
 でもルーのような人々にとっては、それがどんなに早くても早すぎることはないのです。

ページトップ

ページトップ