宝くじが当たったら遊んで暮らせる?
・BBCニュース ケビン・ピーチー
マージーサイドの会社員7人組は、ユーロミリオンズで4,500万ポンド(約60億7500万円のジャックポットを当て、その後すぐに退職願を出しました。その賞金は、一人当たりなんと650万ポンド(8億7750万円)、ヒューレット・パッカード社に勤めるIT職の「豪勢な7人」が一生遊んで暮らすことを考えるのに十分な額です。
7人の幸運の知らせで、スーパーマーケットから職員室まで、また食肉業者から建築業者まで、同じ会話が繰り返されることになりました。つまり、賞金がいくらあれば、一生遊んで暮らせるかという話です。
そこでBBCニュースのウェブサイトでは、何人かの財務専門家の力を借りて、一生仕事をする必要がなくなる、幸運の数字を計算してみました。当選者の年齢や、どんな種類の投資をする気があるかなどによって、金額は変わってきます。投資リスクをいとわない40歳の女性であれば、554,676(約7488万円)ポンドの賞金は、死ぬまでの平均賃金を得るのに十分でしょう。しかし、無リスクの利益を求める21歳の男性では、200万(約2億7千万円)ポンドを少し超える程度が必要となります。
ちょっとした数学のお話
それでは、どうやって計算したのでしょうか。
○早期退職のコスト
・21歳男性:2,019,117ポンド(約2億7258万円)
・40歳男性:1,268,780ポンド(約1億7128万円)
・21歳女性:1,658,201ポンド(約2億2385万円)
・40歳女性:1,069,225ポンド(約1億4434万円)
出典:カナダライフ
基本的に私たちが知りたいと思ったのは、英国の年間平均所得に相当する利益を定期的に得るには、いくら投資する必要があるか、ということでした。
英国で働く人々全員を、最も高給の人から最も低所得の人までずらっと並べて、ちょうど真中にいる人を選びだすと、その人の所得が「中央値」になります。この平均的男性は2009年度に28,000ポンド(約378万円)稼ぎました。女性の場合、数字は22,000ポンド(約297万円)でした。所得税と国民保険料を差し引くと、手取額は男性で21,244ポンド(約286万円)、女性で17,104ポンド(約230万円)となります。この額では夢のマイホームを買ったり、スポーツカーを何台も買ってずらりと並べたりはできませんが、英国の人々が暮らしを立てる平均金額です。
それでは、残りの人生にこのレベルの手取額を得るためには、宝くじの賞金でどれほどのまとまった金額が必要となるのでしょうか。そして、どうすれば、それを手に入れることができるのでしょうか。
早期退職
保険会社は年金保険を販売しています。余生の年金収入を保証するものです。これは大雑把に、余命の可能性に基づいて計算され、ほとんどの人は60代で退職後の貯金を使ってこの年金保険を買います。現在、21歳の男性の寿命は87歳近くになっています。今後の人生に21,244ポンド(約286万円)の年間所得を保証するため、保険会社のカナダライフでは200万ポンド(約2億7千万円)を少し超える価格を請求します。40歳の男性の場合、明らかにそれほど長い期間支払う必要はありませんので、請求される額は127万(約1億7145万円)ポンドとなります。女性の平均収入はいくらか少ないため、年金も少し安くなる、と言うレイス・カラフ氏は、ハーグリーブズ・ランズダウンの年金アナリストです。
カラフ氏は、カナダライフが21歳の女性に請求するのは166万ポンド(約2億2410万円)になるだろうと計算しました。これで年間所得17,104ポンドが、残りの人生に保証されます。その女性は90歳を少し超えるまで生きると予想されています。40歳の女性の場合、年金に請求される金額は107万ポンド(約1444万円)です。こうした計算はすべて、推定年率3%のインフレに備えています。また、納付が必要となる税金も考慮しています。
年金購入以外の選択肢――株取引
年金を購入して早めに引退することが、運のいい宝くじ当選者にとって、収入を保証する一番よい方法かもしれません。しかし、それは唯一の道ではありません。
○投資コスト
・21歳男性:807,245ポンド(約1億897万円)
・40歳男性:659,248ポンド(約8899万円)
・21歳女性:666,076ポンド(約8992万円)
・40歳女性:554,676ポンド(約7488万円)
出典:フィデリティ・インターナショナル
別の選択肢は、投資ポートフォリオを持つことです。この方法はより大きなリスクを伴うため、必要な金額は少なくなります。
投資専門家のフィデリティ・インターナショナルに、どのくらいのまとまった金額があれば、先ほどおおまかに示した典型的な年間所得が得られるのか、尋ねました。この金額を一流企業の株や国債に投資したり、定期預金口座に預けたりして、利益を得ることになります。その答えは、21歳の男性で807,245ポンド(約1億897万円)、同年齢の女性では666,076ポンド(約8992万円)をつぎ込む必要があるだろう、というものでした。40歳の場合、男性では659,248ポンド(約8899万円)、女性は554,676ポンド(約7488万円)を当てる必要があります。この計算では、投資に対して年平均成長率5%とインフレーション3%を想定しています。
でも、有頂天になるのはまだ早すぎます。この所得の一部は課税されます。21歳ならば、時間をかけてもっと多くの宝くじの賞金を非課税の個人預金口座にわずかずつ入れていくことも考えられますが、年齢が上の投資家の場合こうする機会は少なくなり、したがって、投資収益の少なくとも一部についてはキャピタルゲインや所得税に直面することになります。
年金とは違って、こうした投資は遺言で子どもたちに遺すこともできます。年金は、当人が死ぬまでの、一個人だけのものです。
確率は1,400万分の1
まあ、こんなところでしょう。あなたが40歳の女性でリスクを厭わないなら、50万ポンド(約6750万円)を少し超える程度の金額を当てればよいのですが、「安全優先」の21歳の男性なら、200万ポンド(約2億7千万円)を超える大当たりが必要です。
「退職後に宝くじを当てた人のように暮らすためには、もっと貯蓄が必要です」――フィデリティ・インターナショナル ジュリアン・ウェッブ
残念なことに、そして当然ながら、そんなことが起こる見込みはほとんどありません。英国の大きな宝くじは、週2回抽選が行なわれ、平均的な一等賞は、番号をすべて当てた人で200万ポンド(約2億7千万円)を少し超える額です。この大当たりをとる可能性は13,983,816人に1人、言い換えれば1,400万分の1の確率です。予想される次に大きい賞金は、五つの番号とボーナスボール(数字)を当てて100,000ポンド(約1350万円)です。
結局、ほとんどの人にとって、当たる見込みはとても低いのですが、こういった類いの計算はムダではない、とフィデリティ・インターナショナルのジュリアン・ウェッブ氏は言います。「これくらいの金額を宝くじで当てたいと思っても、残念ながら、ほとんどの人は当たりません。それでもこの考えかたを退職後に平均賃金と同じくらいの収入を得るにはどれだけ貯める必要があるか、ということに当てはめれば、そのことには意義があります」と言うのです。「この頃の退職する人が持っている、まとまった金額は平均して35,000ポンド(約472万円)程度で、それでは最低賃金にもなりません。つまり、メッセージは明らかです。退職後に宝くじを当てた人のように暮らすためには、もっと貯蓄が必要です」。
世論調査としてはまったく科学的とは言えませんが、BBCは、ロンドンで平均年齢36歳の商店主10人に、宝くじの賞金で一生働かずにすむためにはいくら当てなければならないと思うか、尋ねました。この人たちの見積りは高すぎでした。回答は100万ポンド(約1億3500万円)から500万ポンド(約6億7500万円)までの開きがあり、平均は220万ポンド(約2億9700万円)でしたが、わずかに、大当たりをとった後も仕事を続けると言った人たちもいました。
「働けば働くほど、若いままでいられる」と言ったのは、金物店でレジの後ろにいた男性です。「それに金で幸せは買えないしね」。
この考えに、大当たりをとったリバプールの「豪勢な7人」は同調しないでしょう。そのうちの一人、28歳のジェームズ・ベネット曰く、「最高なのは、これで子どもたちの一生の心配がないと思えることです。これ以上にいい気分はありませんね」。
(1ポンド=135円で計算)
