UKトピックス

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BBCニュースサイトより、注目のトピックスをお届けします。

話せば変わる? 生徒の態度

How do you get children to behave in class?
 「モーツァルトの音楽」、「素行の悪い生徒の顔を全校に見せるテレビ画面」、そして「学校で飼われている犬」……。これらはみな、生徒の品行を正すために学校で採り入れられている方法です。このほど政府が学校での生徒の素行調査の結果を発表しましたが、成果をあげている学校ではどんな方法を採っているのでしょうか。

罰ではなく話し合い

 学校に通いだしたころのミッシーは、おびえて自信をなくしてしまい、行儀良くできませんでした。しかし、教室ではどうすればいいのかきちんと教えてもらい、今では学校というコミュニティで誰からも愛される存在です。ちなみにミッシーは元気でごきげんなボーダーコリー犬です。
 ミッシーがいるのは、ロンドン東部のイアン・ミカード高校です。必ずしもこの犬のおかげで生徒の素行が良くなったという評判はありませんが、ミッシーは新任の校長が導入した様々な取り組みの一部を担っています。かつては荒れていたこの高校は特殊な方法によってわずか2年で、イギリスの教育基準局(Ofsted イギリス全土の学校教育の査察・評価を行う公的機関)から非常に優れた高校として評価されるまでになったのです。
 政府がイングランドにある公立高校を対象に行った最近の調査によると、全体の78パーセントの高校が「生徒の素行がたいへん優れている」と判断されました。ちなみにスコットランドとウェールズでは同様の調査が行われていません。
しかし、同時にこの結果は、残り22パーセントの高校ではこうした高い基準に達していないことを示しています。総選挙の時期になると、これはなおさら厄介な問題です。それというのも高校生の素行が悪いと、たいていの場合選挙での獲得票数も減り、悲惨な結果につながるからです。それではイアン・ミカード高校のような学校はいったいどうやって成果をあげているのでしょうか。
 校長のクレア・リリーズさんによると、同校は「良い言動を心がけ、人に敬意を払う」を学校方針の最重要課題に掲げているそうです。
 「日ごろの言動は、学校生活のあらゆる面に関係します」と彼女は語ります。「それは単に、誰かが誤った言動をしたときどうするかを考えるといったことではありません。生徒から教師まで含めたすべての学校関係者が、自分にはどんな言動が求められているのか、またもしも本来とるべき言動をとれないとどうなるかを自覚するということです」。
 それは、処罰するということではありません。この高校では罰を与える代わりに話し合いをします。といっても、素行の悪い生徒に何の結果ももたらさないというわけではありません。それどころかその反対です。
 誤った言動を行った人は、相手に謝罪しなければなりません。この規則は誰にでもあてはまり、たとえ教師でも例外ではありません。リリーズ校長は、こうすることによってお互いを尊敬する心を育み、ものごとについてとことん話し合うことが重要だと語ります。

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相手ときちんと向き合う

 そのためには、生徒が安心して何でも話せるような環境を整えることが大切です。そこでミッシーの出番です。生徒たちは、動揺のあまり素直に胸の内を話せなくなってしまいがちですが、そんなとき頼りになるのがミッシーなのです。ミッシーの横に座りなでているうちに、生徒は次第に落ち着いてきて心を開けるようになります。
 こうした方法は、昔ながらの厳しい規律こそが学校には必要だと考える人からは、甘いとか、手ぬるいなどと否定されるかもしれません。しかし事実この方法で生徒の素行が良くなっているのです。そうした生徒の中には以前は「手の施しようがない」とまでいわれていた生徒もいます。
 イアン・ミカード高校は男子校で、深刻で複雑な情緒行動障害(SEBD)を持つ生徒専門の学校です。彼らがここに通うのは、普通教育からはみ出してしまったためですが、教育基準局からは、この高校の生徒の素行は「すばらしく優れている」と評価されています。
 リリーズ校長は言います。「人生とは、困難や人との衝突をどのように克服していくかによって形づくられていくものです。わが校の生徒にとってそれは、自分自身をうまくコントロールする術を学ぶことを意味します。自分のせいで気を悪くさせてしまった相手ときちんと向き合い、相手がどれだけつらい思いをしたかを聞くほうが、罰として監禁されるよりもはるかに多くを学べるのです」。
 こうした方法を採っているのはリリーズ校長だけではありません。監禁などの処罰はこれまで効果をあげてこなかったし今後もないだろう、と語るのは行動管理専門の教育トレーナー、ポール・ディックス氏です。彼はイギリスの教育コンサルティング会社「ピボッタル・エデュケーション(Pivotal Education)」の共同設立者でもあります。
 「生徒に自らの言動について語らせるのは、決して甘やかしや優柔不断な方法ではありません」とディックス氏は言います。以前彼は教師でしたが、現在は生徒の言動向上のためのアドバイザーとしてあちこちの学校に招かれるようになりました。「落ち着いて正面から問題に対処させるようにするのですから非常に効果的です」。
 「子どもたちに罰を与えたとしても、教師たち全員がドーナツでも食べながらのんびり自画自賛しているような状態では充分ではありません。そんなやり方は効果がありませんから、そうすべきではないし、してはいけません」。
 ディックス氏は、素行不良に対して明快な基準を定めて段階的に処罰していく方法を勧めています。最初は生徒を数分間授業から締め出します。そうやって状況を改めるチャンスをきちんと生徒に与えてやれば、生徒は行いを改めなければどういう結果になるかを自覚するようになると彼は語ります。
 このように生徒にチャンスを与える学校がある一方、生徒の気持ちを重んじる穏やかな方法がうまくいかなかった学校もあります。そうした学校では、いくら注意しても素行を改めない子どもたちに対して強硬姿勢をとることで成果をあげています。

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素行不良は容赦しない

 たとえば、イングランド中部にあるダービーのウエストパーク高校では、素行の悪い生徒たちの顔が校内20カ所にあるテレビ画面にチカチカと点滅表示されます。この罰は毎週実施され、罰を受ける生徒はその間ずっとモーツァルトの曲を聴かされます。
 同校のブライアン・ウォーカー校長はこの方法が成果をあげていると語ります。教育基準局もこの学校を高く評価しています。
 テレビ画面は、主に校内ニュースや生徒の功績、校訓などを発表するための大規模な掲示板の役割を果たしています。
 「学校とは一つのコミュニティであることを生徒によく分からせることが大切です。そこは生徒たちだけの世界よりはるかに広く、その一員となるのは素晴らしいことなのですから」とウォーカー氏は語ります。
 「しかし、もし生徒たちが、私たちが定めた明確な規定を破れば、不本意な理由でテレビ画面に映されるようになります。 それは生徒も望んでいません。彼らだって、正しいことをして画面に映りたいと望んでいるのです」。
 他の多くの学校と同様に、ウエストパーク高校は授業中の口答えにいたるまで、素行不良に対して一切容赦しません。どんな問題であろうと処罰されるというメッセージを明確に示しています。まちがった言動はどんなことでも決して見過ごされたりしません。
 「教師を疲弊させ、怒らせるのはごく低レベルの言動の乱れです。何が許されて何が許されないのかが明快に規定されていれば誰にとっても公正ですし、それがつねに首尾一貫していれば、誰もがどうすればいいのかわかります」ウォーカー氏はこう話します。
 「生徒が毎日校門をくぐるたびに、ウエストパーク高校とはどういう学校で、ここではどのように行動すべきかを認識し、自分がこの学校の一員であることを悟ります。こうして生徒たちは母校に誇りを持つようになるのです」。
 ポイント制で賞品がもらえるプログラムに参加している学校もあります。良い行いをすればポイントを獲得できて、ご褒美としてゲーム機やMP3プレーヤーなどがもらえるシステムです。これは民間企業によって運営され、生徒はオンライン上でアカウントを設定し、自分が通う学校からポイントをもらう仕組みになっています。素行が悪ければ、当然ポイントは没収されます。生徒はポイントと引き換えに学校が購入した賞品をもらえるというわけです。しかしこのシステムに否定的な学校もあります。

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処罰しない褒美は与えない

 「わが校では処罰もしませんが、ご褒美もあげません」リリーズ校長は言います。「人生とは、周りの人たちとどのように関わりあって生きていくのかが大切であり、『何かをすれば何かもらえる』というような単純なものではありません」。
ディックス氏も、賞品を与えるやり方は長続きしないと語っています。
 「そんなやり方ではこの先ずっと生徒の素行を正していくことはできません」と彼は言います。「ご褒美をあげるのは親の役目です。教師の仕事は、生徒が良い行いをしたことを家庭に知らせてやることであり、親が子どもにご褒美をあげればいいのです」。
 生徒の素行に関しては、生徒自身もそうですが、教師の存在も非常に重要だとディックス氏は言います。ですから校長は教師の役目にも力を入れる必要があります。教師は生徒たちに、学校から何を求められているかを教え、つねに期待通りの行動をするよう徹底させなければなりません。しかも、もし生徒が誤った行動をとった場合は平静を保ち、大声で怒鳴りつけるなど感情的になってはいけないのです。そして生徒が良い行動を取ったら、きちんとほめてあげなければいけません。
 結局のところ、生徒の素行があっという間に良くなるような、魔法の粉のような方法など存在しないが、かといって全く難しいことでもないと専門家は語ります。学校によっては、論争の的になるような、型にはまらない方法をとるところもあるでしょうが、その背景にある考えはほぼ同じです。ミッシーがいようといまいと関係ないのです。

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