UKトピックス

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BBCニュースサイトより、注目のトピックスをお届けします。

イギリス人俳優がアメリカ人を演じる

Why are British actors playing Americans?

ゲーリー・オールドマンも?

 アカデミー賞受賞女優のデイム・ヘレン・ミレンは、イギリス人俳優には悪役ばかり回ってくるとぼやきましたが、アメリカのテレビドラマにはイギリス人がそこかしこに出ています。アクセントから見分けることができないだけです。
『ザ・ワイヤー』は、ボルティモアを舞台に、皮肉屋の警官ジミー・マクノルティを中心として、アメリカ都市部の社会の悪と犯罪をリアリズムに徹して描き、大絶賛されました。しかし、アメリカ人の視聴者たちの中で、この警官を演じているドミニク・ウェストがイギリスの名門イートン校出身であることを知っている人はどれほどいるでしょうか。
 暗黒街の黒幕、ストリンガー・ベルもまた然り。いかにもそれらしいアクセントでこの人物を演じているのは、ロンドンっ子のイドリス・エルバです。
 『LOST(ロスト)』にもイギリス人俳優が出ています。ナビーン・アンドリュースとアドウェール・アキノエ=アグバエがそれぞれイラク人とナイジェリア人を演じます。
 しかし、おそらくもっと驚かされるのは、イギリス人がアメリカ人の登場人物を演じるのが、珍しくもないということです。
 『Dr. HOUSE(ドクター・ハウス)』が一番分かりやすい例でしょう。かつては『ジーブス&ウースター』の上流階級の軽薄な放蕩息子が一番よく知られていたヒュー・ローリーが、かんしゃく持ちで、変わり者の診断専門医、グレゴリー・ハウスを演じています。
このドラマシリーズはアメリカで最も人気のある番組の一つです。

◆アメリカ人を演じるイギリス人
・ドミニク・ウェスト――『ザ・ワイヤー』のジミー・マクノルティ役
・イドリス・エルバ――『ザ・ワイヤー』のストリンガー・ベル役
・ヒュー・ローリー――『Dr.HOUSE(ドクター・ハウス)』のグレゴリー・ハウス役
・ミニー・ドライヴァー――『ザ・リッチズ』のダリア・マロイ役
・エディ・イザード――『ザ・リッチズ』のウェイン・マロイ役
・イアン・ハート――『ダート』のドン・コンキー役
・マリアンヌ・ジャン=バプティスト――『WITHOUT A TRACE/FBI失踪者を追え!』のビビアン・ジョンソン役
・アンナ・フリエル――『プッシング・デイジー~恋するパイメーカー~』のシャーロット(チャック)・チャールズ役
・ミシェル・ライアン――『バイオニックウーマン』のジェイミー・サマーズ役
・ダミアン・ルイス――『Life真実へのパズル』のチャーリー・クルーズ役
・ジョエリー・リチャードソン――『NIP/TUCKマイアミ整形外科医』のジュリア・マクナマラ役
・イアン・マクシェーン――『デッドウッド』のアル・スウェレンジン役
・ジョセフ・ファインズ――『フラッシュフォーワード』のマーク・ベンフォード役


 銀幕には、必ずイギリス人俳優が登場してきました。ゲーリー・オールドマンがアメリカ人でないことを知って驚くアメリカ人は、どれほどいるでしょうか。ケーリー・グラントが道を切り開いたのは、ずいぶん昔のことです。
 おまけに、時代物であれば何でもイギリス人の役者が雇われる機会となります。アメリカの観客はローマ人がイギリス人のようなしゃべり方をするものと思っているということは、これまでにたびたび言われてきました。そこで、HBOとBBCが共同制作を行ったドラマ『ローマ』には、イギリス人とアイルランド人のスターがひしめいています。
 ところが、イギリス人俳優の起用が増えたという最近の傾向は、少なくとも聞いた話によると、もっと理由がありそうです。情報通の観客ならば、なぜだろうと不思議に思っているでしょう。
 アメリカのテレビ局で働くプロデューサーに話を聞けば、コストが重要な問題であると認めるはずです。
 ウェストは、エルバと共に『ザ・ワイヤー』で得た幸運の説明にこの点を持ち出すことにやぶさかではありません。

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コストをおさえ才能を

 「金額以上の価値、それが本音でしょう。経験豊かな役者を求めていて、私がアメリカ人だったら、大金を払うことになります。その分、知名度も高いでしょうけれど。私たちイギリス人のほうが安上がりなのです」。
 『ローマ』でマルクス・アントニウスを演じたイギリス人俳優ジェームズ・ピュアフォイは、イギリス人俳優ネットワークがアメリカ人の同業者たちに安い労働力とみなされていると思っています。
 「ロサンゼルスでは、ホワイトメキシカンと呼ばれることがよくあります」と、アメリカで成功するためのセミナーで、希望に満ちたイギリス人俳優の参加者たちに、ピュアフォイは語りました。
 HBOの『ジェネレーション・キル/兵士たちのイラク戦争』の制作に携わったイギリス人プロデューサーのアンドレア・コールダーウッドは、コストが問題と認めています。
 「アメリカ人プロデューサーは才能を持った俳優を求めています。当然のことながら、コスト的な要素も関わります。アメリカで名の知れた俳優となってしまえば、多額の出演料を要求できます。そこで、金のかからないフレッシュな才能を求めているのです」。それに、訓練を積んだイギリス人俳優にとって、アクセントは問題でありません。
  イギリス人が有利な点は、私もそうですが、アメリカのテレビ番組をたくさん見て育ってきたことです」とウェストは言います。「私たちはみんなアメリカ英語をしょっちゅう聞いていました。そしてもう一つの有利な点は、アメリカ人が他の国のテレビをみて育ったり、他のアクセントを聞いたりすることがあまりないことです。だからアメリカ人は、他人の下手なアクセントもそういうものと思って、たいへん寛大な態度をとります」。自分の転機となったマクノルティ役はその実例だと、彼は思っています。

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行儀がよくスターを気取らない

 「誰もがこんなアクセントなのに私がアメリカ人だと思い込んでいました。私のアクセントはまあまあだけど完璧ではありませんでした。たいていの人はアメリカのアクセントしか知らないから、それらしいアクセントでしゃべる人間に対してはるかに寛大です。これがもし反対に、イギリスにアメリカ人がやって来てイギリス風アクセントでしゃべったとしたら、それが正確でないと、私たちはもっとずっと気分を害されます」。
 「私は『刑事スタスキー&ハッチ』とか、そんな類いの番組を見て育ったし、私たちイギリス人にとってはアメリカのアクセントを習うのもはるかに簡単です。みんな、それを聞きながら育ってきましたから」。
 もちろん、イギリス人俳優が引っぱりだこなのは、役者修行と演劇、テレビ、映画での確かな経験からと考えたいものです。
 「おそらく進んで共演者の一部となる姿勢があって、それがアメリカ人の有名人やショービジネスに対する見方にいくらか反しているのかもしれません」。
 「本当に重要なのは、演技の技量です。イギリス人俳優は、特定のレベルに至るまで役者として修行し、テクニックが特別なレベルに達しているからこそ、アメリカ人のプロデューサーや監督は喜んで起用するのです」と、コールダーウッド氏は言います。
 仕事に対する姿勢に関する側面もあるかもしれません。テレビ業界は厳しいスケジュールで動きますが、イギリス人俳優は行儀がよくて、スター気取りでないと認識されています。
 「イギリス人のほうが、多分主役以外の共演者に向いている、あるいはあまり大スターになりそうにない、あるいは大スターでないことに甘んじている、などの可能性があります」とドミニク・ウェストは言います。
 「アメリカではすべてが『頂点に立つチャンスはある、頂点を目指せ、成功をつかめ』と言っているように思われ、イギリスではそのチャンスが少ないから、イギリス人俳優はそういうことに対してもっと冷静だと思います。『ザ・ワイヤー』にスター俳優はいませんでした。役者は脚本の目的を果たす共演者で、多分アメリカでは、誰でもいいから演じている俳優をスターにすることにエージェントは力をつくしているのだと思います。おそらく進んで共演者の一部となる姿勢があって、それがアメリカ人の有名人やショービジネスに対する見方にいくらか反しているのかもしれません」。

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リアリティが薄れない

 しかし、イギリスの俳優をテレビで配役することには意外な側面もあり、それはまさに、登場人物を一からどのように創り上げるかということに関わっています。
 『ジェネレーション・キル 兵士たちのイラク戦争』の配役を決める際、コールダーウッド氏は世界中を捜しました。HBO本社の説得にかなりの時間を費やした後、スウェーデン人俳優のアレキサンダー・スカルスガルドをブラッド(アイスマン)・コルバート米海兵隊軍曹にキャスティングしました。
 アメリカの知名度が高い俳優を使うとお金がかかるだけでなく、視聴者にとってのリアリティが薄れかねないと考えたからです。
 「この役に有名な俳優は求められていませんでした。作品のリアリティが薄れると思われたからです」。
 『Dr.HOUSE(ドクター・ハウス)』を例にとると、もし、アメリカのテレビですでに人気のある俳優が主役を演じるとしたら、あるいは有名な映画スターにその役がいったとしたら、視聴者は、そのスターがかつて演じた登場人物の色眼鏡でその新しい登場人物を見ることになったでしょう。ヒュー・ローリーが主役を演じることで、視聴者はただ、グレゴリー・ハウスを見ることになります。
 アンサンブルドラマの場合、これは特に重要な点です。何が重要かというと、その俳優がすでに有名になっていなければ、どこの出身であろうと問題はなく、むしろイギリス人俳優は有利なスタートを切れるということです。
 もちろん、ローリーのようにテレビの超大物スターとなってしまえば、その効果はもう期待できませんが。

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